日本の政治と宗教
掲載日:2023年1月2日/更新日:2025年2月12日
『にじのかけはし』第18回より
「新聞を読まない医者にだけはなるな」と、父から口酸っぱく言われな がら私は、新聞を読まず、政治にまったく関心のない研修医になりまし た。民医連に就職し、職員と選挙の話になって「”個人的なことは政治的 なこと”なんだよ」と第2波フェミニズム運動のスローガンを教えても らった時も、何のことかわかりませんでした。しかし、民医連で患者が 置かれた社会的困難の背景を知るうちに、段々政治に関心を持つように なり、さらにLGBTQについて学んだ今は「個人的なことは政治的な こと」の意味を痛感しています。私がバイセクシュアルとして体験した 苦しい出来事の数々は、異性愛主義を前提とした社会構造から生じたも ので、私だけに特別に起こった個人的な経験ではなく、政治的な出来事 だったのだと理解できるようになりました。
政治に関心を持ち始めるとさまざまな疑問が浮かんできました。同性 婚を実現した国が増えるなか、日本ではその道のりが遠く険しく見える 日本の政治と宗教 第18回 39 のは、なぜなのか。選択的夫婦別姓が実現していないのは、性教育がこ んなにも遅れているのは、なぜなのか。新聞を読み始めてみましたが知 りたい情報にたどり着けず、前提知識が足りないのだろうと思い、政治 学の本なども読みすすめていました。
そんなある日、神社で選択的夫婦別姓に反対する運動があると知りま した。学びをすすめると、日本全国約8万の神社を包括する神社本庁の 関連団体の神道政治連盟※が、選択的夫婦別姓、よりすすんだ性教育、同 性婚に対し長年反対運動をしてきたことがわかりました。2022年6月に は安倍晋三元首相が会長を務め、多数の自民党議員が参加する神道政治 連盟国会議員懇談会で、「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」 とする内容の冊子が配られたとの報道がありました。この団体には、「L GBTは生物学上、種の保存に背く」「LGBTは生産性がない」という 発言をした議員たちも所属しています。漠然と日本はあまり宗教心がな い国だと思ってきましたが、宗教は深く政治に食い込んでいたのです。 私は政治に関して無知でしたが、こうしたことを日本に住む多くの人が 知っているとも思えませんでした。


※神道政治連盟は「万世一系の皇統と悠久なる歴史を持つ皇室と日本の伝統文化を 尊重」、「日本の伝統と国柄に基づき、国土と国民を守ることのできる憲法の制定を めざす」、「日本を守るために尊い命を捧げられた、靖國神社に祀られる英霊に対す る国家儀礼の確立」、「国民の生活や社会の重要な基盤となる家族の絆を大切にでき る社会の実現」などを、“目指す国づくり”に掲げている組織です。