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民医連での経験とこれから

掲載日:2023年3月6日/更新日:2025年2月12日

『にじのかけはし』第22回より

今回は「無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす」民医連で、私が 経験してきたことをお伝えします。2007年に川崎協同病院に入職し、途 中2年間の外部研修に出ましたが、14年間民医連で働いてきました。入 職した当時は、職員や先輩たちの言動から「無差別・平等」のなかにL GBTQの人は含まれていないと感じ、「女性のパートナーがいるのがば れたらまずい」という怖さを抱えて働いていました。

2018年、LGBTQに関する活動を公に行いたいという思いから、職 場の年納め会でのカミングアウトを決心しました。職員が一堂に集まり お酒を飲んでいた場で、突如マイクを握り、「みなさんにお伝えしたいこ とがあります。私には女性のパートナーがいます」と宣言しました。ざ わざわしていた会場が、文字通り水を打ったように静かになりました。

私の手は震え、声は裏返っていました。宣言の後、隣に座った検査科の ベテランスタッフが、「これで吉田先生が職場で差別にあうような病院だったら、私辞めてやるわ。大丈夫よ、先生、応援してる」と声をかけて くれました。

こういう職場だから、私はLGBTQの活動をやっても大 丈夫だと思えたんだなと感じながら、肩の重い重い荷物をやっと下ろせ たような気持ちで帰りました。

その後、各地の民医連から講師を依頼される機会が増え、講演のたび に真剣に受け止められていると感じています。そしてこの連載が始まり、 全国からお便りが届き、今、民医連は大きく変わりつつあると感じます。 カミングアウトした時の「民医連ならきっと大丈夫」という気持ちは、 間違っていませんでした。

2023年、いよいよ全日本民医連の人権と倫理センターに「SOGIコ ミュニティ」が立ち上がります! SOGIとは性的指向・性自認を表 す言葉で、「LGBTQの人だけでなくすべての人が当事者である」とい う意味が込められた名前です。まずはLGBTQの人びとのケアに関心 のある職員が気負わずに集まり、対話し、意見交換できる場づくりをめざします。関心があるけど何から始めていいかわからない人、職場では 孤独を感じる人、すでに実践をしている人、みんなでつながって、無差 別・平等の医療と福祉をいっしょにめざしませんか?


※全日本民医連人権と倫理センター;全日本民医連は第45期(2022年)、人権・倫理 を専門的に扱う体制を確立する方針に沿い「人権と倫理センター」を設置しました。 民医連内の実態把握アンケート、学習・相談活動などの支援について発信します。 このセンターのもとに「SOGIコミュニティ」を設置し、連携して実践的な取り 組みを開始していきます。