連載の終わりと私のめざす未来
掲載日:2023年3月20日/更新日:2025年2月12日
『にじのかけはし』第23回より
本連載も、いよいよ最終回となりました。
私は連載を重ねるにつれ、 日本を多様性が真に尊重され、個性が生かされ、人権が守られる国にし ていきたいと強く感じるようになりました。そのためには、さまざまな 多様性について学び、対話を重ねることで、一人ひとりが自分も他者も 尊重でき、困ったことがあれば声をあげてもいいのだと思えるようにな ることが、重要だと感じています。
早くに母を亡くし、父の統合失調症の症状に悩まされる幼少期を過ご した私は、「ふつうの家庭をもつこと」を強く願っていました。その分、 自分が同性愛者であると受け入れざるをえなくなった時、「ふつう」を手 にできないのだと絶望しました。あれから、自分を真にこのままでいい のだと受け入れられるまでには、長い年月が必要でした。
けれど、その悩みが、今こうして生かされています。それは耳を傾け、 聴いてくれるみなさんがいたからです。一見”弱み”に見えがちな私の セクシュアリティーは、理解され尊重されたことで、何かを伝えること のできる”強み”になったのだと感じています。そうした対話と尊重が ひろがる社会は、誰にとっても生きやすい社会ではないでしょうか。L GBTQへの関心の輪がどんどんひろがるのを実感し、みなさんといっ しょにそのような社会づくりをしていけるという、希望を感じた1年で した。
そして、ある面でマイノリティーであっても、別の面では特権をもつ マジョリティーであることに、自覚的でなければいけないとも思ってい ます。気づかないうちに差別的な言動をしてしまった時、声をかけてく れる家族、友人、職場の仲間の存在に感謝しています。
みなさんから多くの反響をもらい、連載をまとめた冊子が職員に配ら れることになりました! さらに民医連オリジナルのアライバッジ、フ ラッグも作成中です。職場や日常生活で少しでも役立てば、うれしいで す。セクシュアリティーへの学びを深めると、「LGBTQの人たちにつ 連載の終わりと私のめざす未来 第23回最終回 49 いて学ぶ」のではなく、自分自身を深く理解することにつながります。 この連載はその”かけはし”になれたでしょうか?
1年間、にじのか けはしを読んでくださり、ありがとうございました。
