「トランスジェンダーの健康と医療に関する研究会」発足しました!
掲載日:2024年12月29日/更新日:2025年5月29日
近年、トランスジェンダー(生まれた時に割り当てられた性別と、自身で認識する性が一致していない人)が適切な医療を受けられる環境の整備が求められています。ホルモン療法や手術療法を希望する場合だけではなく、急病や生活習慣病であっても、日本国内では医療基盤が十分に整っておらず、当事者が安心して受診できる医療機関が限られているのが現状です。その結果、希望する医療を受けるために遠方の病院を探したり、長い待機期間を強いられるケースが少なくありません。
こうした状況を改善するため、2024年12月に「トランスジェンダーの健康と医療に関する研究会」を立ち上げました。この研究会の目的は、全国規模の医療ネットワークを持つ民医連内でトランスジェンダー医療を推進し、医療者の裾野を広げることにあります。トランスジェンダーの医療に関心を持つ医師や医療機関が増えれば、当事者が安心して受診できる環境が全国的に整うことにつながります。
さらに、この取り組みは単にホルモン療法や手術療法の提供にとどまりません。トランスジェンダー当事者がその他の疾患や症状でも医療機関を受診しやすくなることも重要な目標です。医療者がトランスジェンダーについての理解を深めることで、急病や生活習慣病などの場合にも安心して診察を受けられる環境が整備されます。
現状では、医療機関での偏見や無理解が原因で、受けるべき治療を避ける当事者も少なくありません。この研究会の活動を通じて、トランスジェンダー医療の知識を広めることで、こうした状況を改善していくことを目指します。
全国の民医連加盟医療機関が協力しトランスジェンダー医療の提供体制を強化することで、どこに住んでいても適切な医療が受けられる社会を実現したいと考えています。トランスジェンダー当事者が医療機関を選ぶ際に迷わず、安心して受診できる環境づくりは、すべての人にとってより良い医療の実現にもつながるでしょう。
私たちはこの研究会の活動を通じて、これまで述べた「受診・利用できる医療機関の拡充」に加え、「ホルモン治療の保険適応を目指す」、「ホルモン治療のガイドラインの作成」など、トランスジェンダー当事者が社会的・医学的に公平・安全な医療を受けられる支援をしたいと考えています。
まだ始まったばかりですが、多くの医療者や関係機関と連携しながら、この取り組みを拡げていきます。
皆様のご協力をぜひよろしくお願いいたします。