カナダのトロントで活動するLGBTQ+支援団体「The 519」の視察報告
掲載日:2026年8月18日/更新日:2026年8月18日
The 519のwebsite
全日本民医連SOGIEコミュニティのメンバーの吉田絵理子が、2026年2月にトロントでの医療と法律分野のスタッフ同士が連携をとり患者や地域住民のアドボケート活動につなげている”Health Justice Partnership”の視察に参加しました。視察中に訪問した「The 519」についてご報告します。
The 519は、2SLGBTQQIA(Two-spirited*, Lesbian, Gay, Bisexual, Trans, Queer, Questioning, Intersex, Asexual/Ally)の人々を対象として、コミュニティの健康、幸福、完全な社会参加を目指し、幅広い支援を提供しています。トロント市が建物やインフラを提供し、運営は市民のボランティアが理事会を担っています。
カナダでは既に同性婚が認められており、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する差別禁止法があるものの、実際にはヘイトクライムが後を絶たない厳しい状況があります。The 519は、相談業務や当事者の生活支援にとどまらず、社会制度や法律の変革を求めるアドボカシー活動まで統合して行っていて、コミュニティ全体の力と公正さを追求する重要な拠点となっています。
具体的な支援として、例えば食糧支援と安全な居場所の提供を行っています。2022年には、22万4000食を給付したとのことで、驚きました。視察にいった私達のグループもThe 519で昼食をいただきましたが、とっても美味しくて感動しました。
コミュニティの人々が直面する法的課題に対して、プロボノの弁護士や法学生がボランティアで協力し、無料の法的サポートが提供されています。
さらに、難民・移民のピアサポートの場を提供したり、難民シェルターの入居受付を行っています。出身国で性的指向や性自認を理由に迫害され、カナダに逃れてきた難民・移民を年間のべ13000人規模でサポートしているそうです。
さらに、トランスジェンダーの方のホルモン療法や性別適合手術、メンタルヘルスケアへのアクセスをサポートしたり、医療保険で手術が却下された際の法的意義申し立ての支援も行っています。
若者や高齢者、家族へのサポートプログラムも開催しています。
視察させていただき、The 519が提供するサポートの幅広さと規模の大きさに、とても驚きました。スタッフの方に様々な逆境の中で、どのように活動を続けるモチベーションを得ているのかと質問したところ、「世界中のLGBTQコミュニティの前進を、それがどんなに小さな一歩であっても自分事として受け止めて喜ぶことで、仲間たちとの連帯を感じている」との答えをいただきました。
私もトロントでの視察を通し、ここにも世界をより平和な場所にしたいと願い活動する仲間がいると感じ、力をもらって日本に帰ってきました。視察での経験を仲間にシェアし、民医連SOGIEコミュニティでの活動に活かしていきたいと思います。
*Two-spiritedについて
先住民独特の歴史、文化、精神性と深く結びついた特別なアイデンティティ。女性の精神と男性の精神の両方を一人の体の中に持っていると考えられている人達を表す総称。癒しの役割を担うヒーラー、男性・女性や人間界・精神界の架け橋として仲裁役を担う、知識の伝承者といった特別な役割を担っていたが、植民地化以降、社会から排除されてきた歴史がある。







